01. 光触媒って何?

―光触媒ってたまに聞くけど、いったい何なの?

触媒とは?

化学反応が起きる際、その反応速度を増大させるけれど、そのもの自体は反応式に現れない物質を触媒といいます。
それ自体は化学反応しないけれど、化学反応を促進させるものです。

光触媒とは?

光触媒とは、吸収した光のエネルギーを反応物質に与えることによって化学反応を促進させる物質のことをいいます。
よく間違われやすいのですが、光が触媒という意味ではありません。

あまり聞きなれないものかもしれませんが、私たちの身近なもので言えば、葉緑素が光触媒の一種です。葉緑素に光があたることによって、水と二酸化炭素から炭水化物と酸素が作り出されます。
いわゆる光合成です。

葉緑素のような物質に、酸化チタン(二酸化チタン、TiO2)があります。
(最近では、酸化チタンのような半導体を利用するもののみを光触媒反応と考えられています)
現在、光触媒としてさまざまな形で応用されているのが、この酸化チタンを用いたものです。
(詳しくは「酸化チタンの特徴」参照)

当サイトで紹介しているような造花や人工観葉植物のほかにも、テント・外壁材・窓ガラスなどの表面に酸化チタンをコーティングすることによって、光触媒の効果が得られます。
(具体的な効果については「光触媒の効果」参照)

光触媒で起こる化学反応

光には、その波長に応じてエネルギーが存在します。波長の短いものほどエネルギーは高くなります。
光を光触媒(酸化チタン)に照射すると、光触媒中にあった電子がそのエネルギーを受け取り、より高いエネルギー状態になります。これを”励起”といいます。

電子の移動は酸化還元という化学反応です。光触媒でも、電子の励起によって酸化還元が起きています。

エネルギーを受け取って電子が違う状態に遷移する際、もといた状態は孔となり、これを正孔(ホール)と呼んでいます。電子はマイナス(負)の電荷をもっているので、その不在は逆にプラス(正)の電荷を持つことになり、そのため正孔というわけです。

この正孔は強い酸化力(=他の物質から電子を奪う)を持っています。
そのため、近くにある有機物から電子を奪い、電子を奪われた有機物は結合を分断され、最終的には二酸化炭素や水となり大気中に発散していきます。

触媒と光触媒の違い

反応の前後で変化がないので”触媒”という言葉が使われていますが、光触媒は正確には触媒ではありません。

触媒反応の起こる場所を、活性点といいます。例えば、固体の触媒の場合は、その表面が活性点となります。

触媒反応ではこの活性点が存在し、光触媒反応の場合は活性点は存在しません。光が当たった場所で光の量に応じて電子が励起し、それによって起こる酸化還元反応だからです。

光触媒反応は、触媒反応というより、むしろ光化学反応の一種ととらえたほうがよいでしょう。

02. 光触媒がクリーンな理由

―環境にやさしくてクリーンなものらしいけど、なぜ?

光触媒と酸化還元

光触媒で起きる化学反応について、もう一度簡単にまとめます。
(詳しくは「光触媒って何?」参照)

表面にコーティングした酸化チタンなどの光触媒に有機化合物が接触し、そこに光が当たると有機化合物に含まれる全部の炭素がすべて二酸化炭素になるまで酸化分解(「完全酸化反応」と呼ばれます)される。 また、光触媒反応により表面が親水的になる。 (『イラスト・図解 光触媒のしくみがわかる本』大谷文章著(技術評論社)より抜粋) ※太字は全て原文のとおりにしてあります。

子どもの頃、学校の理科で”酸化””還元”というものを習いました。
もう少し詳しく、化学としては、

 酸化……物質が電子を奪われること
 還元……物質が電子を受け取ること

として定義されます。

「光触媒って何?」でお話ししたとおり、光触媒反応はまさに電子の移動であり、光による酸化還元反応の一種であることがわかります。

電子を奪われるということは、別の物質は電子を受け取っていることになります。
つまり、酸化と還元は、必ず対になって起こるということです。

光触媒の特徴

光触媒反応では、まず最初に酸化還元反応が起こります。

ふつうの酸化還元反応では、よけいな副生物が発生してしまいます。この副生物を分離しなければならないわけです。

【例】
・酸化剤や還元剤を用いた場合……酸化剤が還元されたもの、還元剤が酸化されたものがよけいな副生物として発生
・電解反応の場合……副生物は発生しないが、電解質が必要になる

しかし、光触媒反応では、この副生物が発生しません。光そのものが酸化剤・還元剤の役割をするからです。

よけいな副生物を生成せず、電解質などの添加物も必要ない光触媒反応は、とてもクリーンな反応といえます。

03. 酸化チタンの特徴

―光触媒のひとつ、酸化チタンってどんな特徴があるの?

光触媒としては、チタン酸ストロチウム・酸化亜鉛・硫化亜鉛・酸化タングステン・酸化鉄などがありますが、実際に利用されているのはほとんどが酸化チタン(二酸化チタン、TiO2)です。
酸化チタンが最もよく使われているのは、以下の理由によります。

酸化力・還元力が強い

酸化チタンは、広範囲の物質を酸化還元することができます。酸化チタンは特に酸化力が強く、有機化合物の分解に応用されます。

光安定性が高い

「光触媒って何?」のページでも解説しましたが、触媒と名がついているからには反応の前後で変化(自己分解)してしまっては意味がありません。
酸化チタンは、光に当たって生じる酸化還元反応によってほとんど自己分解することがありません。
半永久的に使用することができるのです。

安全性が高い

反応性が高くて危険であれば、元も子もありません。
酸化チタンは光触媒として光に当たれば反応が起きますが、光がなければ100度以下程度では反応が起きません。
生体にとって安全であり、食品添加物としても認められています。

入手しやすい

チタンは地殻内での存在量が多く、入手しやすい材料です。酸化チタンはチタンの酸化物の中でもっとも安定なものであり、比較的容易に合成することができます。

白色(無色)である

酸化チタンは、可視光(我々の目で感じることのできる波長領域の光)を吸収せず、紫外線だけを吸収します。
そのため、粉末の状態は白色をしており、薄くコーティングした際にはほぼ無色透明となります。当然、コーティングするには元の色を損なわないものが好ましく、酸化チタンはそういった意味でも有用なのです。

04. 光触媒の効果

―光触媒ってどんな効果があるの?

大気浄化作用

光触媒作用によって、環境汚染物質を除去することができます。お部屋の空気をクリーンに保つことができます。

具体的には、シックハウスの原因と言われるホルムアルデヒド・環境ホルモン等を分解し、シックハウス防止に役立ちます。

消臭・脱臭

車やお部屋のいやなにおい、ペット・トイレ・タバコなどの悪臭……
光触媒作用によって、これらの悪臭のもととなる物質を分解除去します。

【例】
これらの消臭・脱臭に効果があります。
・アンモニア(汗・尿等の刺激臭)
・硫化水素(野菜の腐敗臭)
・メチルメルカプタン(卵の腐敗臭)
・トリメチルアミン(魚の腐敗臭)
・アセトアルデヒド(タバコの臭い)

抗菌作用

光触媒は強力な分解力をもっているいます。
菌の発育に必要な養分を分解し、細菌をも殺してくれます。
また、細菌の出す毒素まで分解することができます。そのため、大腸菌O-157、黄色ブドウ球菌、大腸菌などにまで有効な抗菌作用があることがわかっています。

防汚作用

表面を酸化チタンでコーティングすることにより、汚れがつきにくくなります。
また、光触媒作用により、表面についた油分などの汚れ(有機物)を分解することによって、汚れを防ぐことができます。